いつから俺はパトロンになったんだ

いつから俺はパトロンになったんだ

大学院留学中の僕と東京藝大のぶっとび彼女

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彼女の作品に使われる

いつか来るだろうとなんとなく思っていましたが、思ったよりはやくこの日が来ました。映像作品に出て欲しいと言われたものの、内容はまさかの「カメラの前で彼女と殴り合う」。戸惑いながらも出演するとまさかのアクシデントが発生し、一生忘れられない日になりました。

 

どんな作品だよ

付き合ってからしばらく、彼女がどういった作品をつくっているかを知らず、関心もありませんでした。もちろん彼女の作品に関わるなど考えたこともありません。そんなところ、ある日突然「絶対に面白い作品ができると思うから聞いて欲しい!!」と言われ半ば強引に説明を聞かされました。

 

「本気で殴り合いをして、それを撮りたい」

 

正気か。色々な意味でやばい。まずどういう思考回路でその結論に至ったのか。頼まれたとはいえ、もし怪我をさせたらどうしよう。

 

「怪我をしても全く問題ないし、お願いしている私の責任だから。本当に本気でやってもらってこそいい作品ができる。」

 

いや、でも、さすがにまずいんじゃないか。運動の習慣すらない細身の女と体育会系の男が全力で戦えばどうなるかなんて読めすぎている。暗に演技してくれと言っているのか。それとも彼女にとびぬけた格闘のセンスでもあるのか。今、人生で一番スカウターが欲しい。戦闘力の差を見ればこんな提案はできないだろう。ああ、でも地球人の戦闘力はだいたい一桁か…。

 

「謝礼も出すから!」

 

結局押しに負けました。そんなことでお金までもらえるなら悪くないとあくまで軽い気持ちで、どんな作品にするつもりなのかもよく分からないまま撮影することになりました。

 

いざ撮影

初めて藝大に行き、真っ白な撮影スタジオに連れて行かれました。まずは彼女をいかに好きかを話させられ、それを彼女が録画しました。なんとまあ、よく分かりません。その後、改めて「派手な喧嘩」の撮影をしました。

 

容赦ない蹴りとビンタ。僕は平和を愛してきたので殴り合いの喧嘩などしたことはありません。痛い。それでも彼女にそれなりに応戦して程よく攻撃したつもりだったので我ながら良い画が撮れたと思いました。しかし彼女は納得できず、「もっと本気で来て欲しい」と最終的に3回撮り直しました。

 

なんとなく程よい力加減を掴みつつあったので、3回目は少し楽しみすら感じていました。冗談めかして「4回目はどう?」と聞いた時、それまで見たことのない苦悶の表情を彼女は浮かべていました。

 

3ラウンドKO勝利です。応援ありがとうございました。

と言いたいところですが、そんな楽しい話でもありませんでした。

 

病院へ

撮影の後、藝大を案内してもらいました。数時間が過ぎ、さすがに多少の痛みも引いてきました。アザができそうな予感のする箇所がいくつかある程度です。しかし彼女は違いました。左耳の痛みが一向に引きません。むしろ、ズキズキとした痛みが増していると言います。大袈裟だなと正直思いつつ、一緒に病院へ向かいました。

 

なんと、程よい力加減を掴みつつあった僕が放った一発のビンタは彼女の顔と耳にクリーンヒットし、鼓膜を破っていました。診察時に正直に事情を話したところ「さすが藝大だね」と大爆笑した医者は、点耳薬と痛み止めを処方してくれました。

 

「いい作品ができそうだから大丈夫」と力強く話す彼女の表情は、全く大丈夫ではありません。それでも動画の編集に取り組み作品の仕上げをする彼女の姿は、岩瀬投手から受けたデッドボールで骨折しながらも片手でヒットを打つ、2004年の金本選手にしか見えませんでした。

 

完成した作品

リアクション芸人さながらに彼女は体を張ったわけですが、作品は「愛」をテーマにしたもので、クラスメイトと教授に公開、のち講評されました。そのため、先端芸術表現科のなかで僕は知られた存在となってしまいました。恐縮です。

 

そして本人もなんとなく手応えはあったようですが、作品自体はかなり高く評価してもらったそうです。僕も自分のことのように嬉しかったのですが、そうはいっても心に引っかかるものがあります…。

 

 

 

治療費に消えた謝礼です。

 

最後に

あの時、医師が事情を話して笑ってくれたのは、間違いなく彼女が「藝大生」という変人であることが暗黙的に許容されている(失礼ですが)ステータスを持つからです。「殴って」と本人に頼まれても、人を殴るのは絶対にやめましょう。特に恋人が相手となると、DVを疑われることは避けられないでしょう。学生の身分だからといって疎かにせず、このような場合には依頼主は簡易的なものでも契約書を用意するべきだと思います。

 

彼女は今回の作品をコンペに出すかもしれないと話していました。作品が広く評価され彼女が羽ばたくきっかけになってほしいと期待を持って応援しています。男女が殴り合う、愛についての映像作品をもし見つけた時には、このブログもなんとなく思い出してもらえれば嬉しいです。

 

 

 

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